診療内容
対象となる代表的なこころの病気
パニック障害
パニック障害は、適切な治療で治る病気
パニック障害は、突然、動悸や息苦しさ、めまい、吐き気などの「パニック発作」という症状が起こる病気です。息苦しさや動悸が現れるため、心臓や呼吸器などの身体の病気をまず疑うことが多いのですが、検査をしても体に異常は見あたりません。
パニック発作はとても苦しいため、「また、発作が起きたらどうしよう・・・」という不安(予期不安)を抱くようになり、次第にパニック発作が起きた状況を回避するようになっていきます。ひどくなると乗り物に乗れなくなったり、外出できなくなったりします。パニック障害はこのように進行していく病気ですので、早期診断・治療が大切です。
パニック障害の症状
パニック発作
突然、下記のような症状が現れます。発作が継続する時間は人それぞれです。
数十分続く人もいれば、比較的短い時間で収まるものの発作を何度も繰り返す人もいます。
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動悸がする
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息がするのがつらい、息をしにくい
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のどに何か詰まった感じ
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めまい、吐き気、気が遠くなる
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突然汗をかく
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体の震え、しびれ
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意識を失う感じ
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このまま死んでしまうのでは・・・という恐怖感
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自分が自分ではない感覚
など
予期不安
パニック発作を経験すると、発作が起こっていないときでも「また発作が起こるのではないか・・・」という不安にとらわれてしまいます。この不安は予期不安と呼ばれています。
広場恐怖
パニック発作を経験した患者さんが、「以前にパニック発作を起こした場所」や「発作が起きた時に逃げることができない場所」「すぐに助けを呼べない場所」「人が多く、恥ずかしい思いをするかもしれない場所」を恐れることを広場恐怖と言います。その結果、一人で外出することが難しくなり、社会生活に支障が生じることがあります。
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外出ができなくなってしまう
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電車やバス、飛行機に乗れない
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外に一人でいるのが怖い
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お店や映画館、エレベーターなど囲まれた場所が怖い
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列に並んだり、人混みの中にいるのが怖い
など
パニック障害の治療
薬物療法
パニック障害は、不安や恐怖感をコントロールする脳の一部が過剰に活動することによって起こることが分かっています。
また、脳内神経伝達物質の量やバランスが崩れていることが原因となり発症すると考えられています。
お薬によって、脳内神経伝達物質のバランスを整えていくことが治療にはとても重要になります。
具体的には、SSRIなどの抗うつ薬を中心とした薬物療法を行います。
パニック障害はうつ病とは違いますが、有効性が実証されています。
抗不安薬は、補助的に使用する場合があります。
パニック障害は再発しやすい病気のため、症状が良くなっても薬はすぐにやめずに半年~1年間位はそのまま続け、それから徐々に減薬していくようにします。
精神療法
不安が高まった時の対応法を一人ひとりの症状に合わせて考えていきます。
パニック障害の患者さんは「不安」を感じやすい状態にあります。
ご自身の病気について分からないことがあると、さらに不安が増しますので、病気について十分に理解することも大切です。
パニック発作が起きたら・・・?
できるだけゆっくりと深い呼吸をしましょう。
椅子に座ったり横になったりして呼吸をしやすくします。慌てずに落ち着くのを待ちましょう。
過呼吸になってしまった時は「息を吐く」ことを意識しましょう。過呼吸の時は息を吸い込みやすい状態になっています。ゆっくりと長く息を吐くことで、体内の酸素バランスが整い、呼吸が楽になってきます。
「落ち着けば、絶対に大丈夫」と自分に言い聞かせることが大切です
パニック障害と仕事
パニック障害を発症すると、仕事を続けることが難しいと感じる方が多いようです。
パニック障害に限りませんが、症状の程度や現れ方には個人差があり、治療法や回復の速度も人によって異なります。そのため、仕事や働き方についても、医師と共に考えていくことをおすすめします。